マーケター・広報・広告代理店・メディア業界の人にとってジェンダーを学ぶ教科書になる良書: 「炎上しない企業情報発信 ジェンダーはビジネスの新教養である」

元日経BPの記者さんで、企業のダイバーシティ経営・女性のエンパワーメントなどの領域で活躍されているジャーナリスト治部れんげさんによる著書。(amazonリンクはこちら)

大手優良企業のCMが相次いで攻撃される原因を分析した上で、非常に明確な提案をされています。以下書籍から引用。

いずれの企業、自治体も、当然のことながら、差別的な意図でCMを制作したいわけではない。ターゲット層に製品を知ってもらったりするため、工夫をこらしている。

それなのに、なぜ、批判されるのか。

変わりゆく女性の生き方・働き方を感覚的には理解していても、言葉にするのは難しい。不用意に言葉にしたら「セクハラと言われてしまうかもしれないし「炎上」してしまうかもしれない。ビジネスの場で、女性に関する事柄を、どう扱ったらよいのかわからない・・・・・。

本書は主にこうした管理職の悩みや課題に答えることを目的に書いている。まずひとつ提案がある。

それは「ビジネスパーソンもジェンダー視点を持つこと」ーーー。

ジェンダーとは「社会的な性差」を意味する。もし、日本のビジネスパーソンに、損益計算書や賃貸対照表を「読める」のと同じくらい、ジェンダーに関する基礎知識があったなら、近年、日本社会を騒がせた、いくつかの問題は防げた可能性が高いはず、と著者は考えている。

(中略)

今日から、「”ジェンダー”はビジネスパーソン必須の教養である」という認識に立ってみよう。

最近話題になった炎上の事例を丁寧に見ていきながら、「どこが問題なのか」と「なぜそれが起こるのか」という点をきちんと検証した上で、巷にあふれるニュースのように「このCMはひどい!」と批判して終わるのではなく、企業の情報発信が炎上するケースの歴史的な流れ、海外の成功・失敗事例などを踏まえて多角的に見ていきます。

さらに、後半は「女性」というもののイメージや像を時代によって変えながらも、炎上せずむしろ多くの女性を勇気づけてきたディズニープリンセス映画から具体的に学ぶ方法を教えてくれています。

自分は、この「歴史的な経緯を踏まえる」「多角的に見る」「ユーザーや受け手、社会のリアリティを大切にし、情報を常にアップデートし続ける ※自分が持っている情報が正しいと過信しない」という3つの行為が色々な問題を解決したり前に進める上で非常に大事だと常々考えていて、それは一言で言うと「リテラシーをきちんと身につける」ということかなと。

リテラシーとは元々いわゆる「読み書き」のことで、その領域において土台となる基礎知識、他の人とコミュニケーションをとったり議論をするための共通の基盤になるものなのですが、歴史やコンテクストをおさえると同時に、「常にアップデートをかけ続ける」ことも「使えるリテラシー」にする上ではすごく大事だと思います。

「基礎知識は一回身につければ良い」というふうに考える人もいるのですが、実際には時代も社会も個人もすごい勢いで変わってきているので、「以前は正しかったかも知れないリテラシー」に基づいて女性やジェンダーを描くと、それが時代とずれていると見事に炎上したり、企業価値を損ねたりします。

でも、それって別にジェンダーに関してだけでなく、もはや全ての領域がそうですよね。昨日まで通用してきた知識や理解や常識が、今日通用しなくなるかも知れない。

重要なことは、どれだけ優秀な人であっても、そういう状況を一人で察知し、一人で対応するのは限界があるということ。やはり企業・組織として多様な人材をきちんと揃えて、外部のブレーンも交えたりしながらチームで対応していくことが最もリスクなく、変化に柔軟に対応できる方法だと思われます。

そして、多様な人材を集めるだけでなく、その多様な人達がきちんと安心して発言できるような環境をつくることが大事。そういう意味では経営レベルや現場のマネージメントレベルの動きがやはり大事になります。

企業の意志決定レイヤーにいる人、企業や製品の情報発信に携わる人、企業の中でのマーケティング・広報の方や、広告代理店、メディア業界の方などにとってリテラシーをつける上で非常に良い書籍だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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