「鎌倉資本主義」から学ぶ「矛盾の中で面白く生き、面白く働く」ということ。

先日、代官山蔦屋で開かれたカヤック CEO 柳澤さんとBusiness Insider Japan 編集長 浜田さんによる、柳澤さんが出版された「鎌倉資本主義」という書籍に関するトークイベントに参加してきました。

柳澤さんと浜田さんと鎌倉

広告代理店時代からいつもカヤックの方々とはお仕事ではご一緒するものの、実は柳澤さん御本人のお話を直接お聞きするのは初めて。めちゃくちゃおもしろかったです。

カヤックさん、そして鎌倉とは去年の秋にご縁があり、カヤックさんが運営されている「まちの社員食堂」で開かれたBusiness Insider Japanさん主催の働き方に関するイベントに登壇させていただき、鎌倉の盛り上がりぶりを教えてとらってから、「どうも鎌倉はすごく盛り上がってるらしい」ということで、ずーっと気になっていました。そのときの様子はこちら。

そして、柳澤さんの対談相手の浜田さんは仕事でいつも本当にお世話になっていて、去年出された「働く女子と罪悪感」という書籍と、関連するトークイベントについてアツい感想を先日書いたばかりです。

柳澤さんの書籍 「鎌倉資本主義」について

今回の「鎌倉資本主義」のポイントを自分なりにまとめると

  • 従来型の資本主義には「環境汚染と富の格差の拡大を克服できない」という意味で限界が来ていて、新しい資本主義のモノサシ、幸福度のモノサシが必要とされている
  • そのために必要なものは従来型の資本や売上にあたる「地域経済資本」だけでなく、「地域社会資本=人のつながり」と「地域環境資本=自然や文化」であり、この3つを組み合わせて「地域資本」としてバランスよく増やしていくことが、人を幸せにする資本主義の新しいカタチとなりうる
  • そのためにも、地域住民・行政・企業・NPOなどのステークホルダーがアイデアを出し合いプロジェクトに取り組むと、もっと面白くなる。コンセプトだけでなくカマコンという地域コミュニティをドライブする仕組みも含めて、新しい資本主義の形を提案しているのが鎌倉資本主義

という形かなと。先日のイベントでお邪魔した「まちの社員食堂」はまさにその具体的な形のあらわれで、非常に実感と納得感を持って読めました。

資本主義を否定せずに、乗り越えるということ

トークイベントでとても印象に残った柳澤さんの言葉がありました。

「資本主義はやっぱり面白い。お金を稼ぐ、売上が上がる、会社が大きくなる、そういうことの面白さはやっぱりあって、それ自体は完全には否定できない。でも、それが全てではない。究極的には、勝ち方にこだわる人をもっと増やすということ」

資本主義について語るときによく陥りがちな態度は、資本主義そのものを否定し、背を向けてしまうことなのですが、柳澤さんの考えや鎌倉資本主義では、資本主義の良いところ、面白いところは活かしつつ、アップデートすべきところをアップデートしていく、という形でした。

このバランスがとれた形が自分としても非常に共感できました。逆に資本主義を否定して自然環境保護・低成長・低消費・低生産を志すこと自体は簡単ですが、現実的にそれを実践するのは現実世界と隔離された社会でもつくらない限り無理だと言わざるを得ません。

「鎌倉だからできること」ではなく「再現性のある技術」

もう一つ印象的だったのが、書籍にも書かれていますが「ブレストは手法であり、技術である。だから他の地域でも横展開できる」というものでした。

自分も全国各地にお伺いしたり呼んでいただいたりしてテレワークなどを行っていますが、どこの地域でも「地域を盛り上げるキーマンがいるかどうかが大きい」という話を聞きます。それはもちろんその通りだと思うのですが、一方でそれは裏を返せば「キーマンがいないと無理」という話になってしまいます。

みんなで地域の課題や可能性に向き合ってアイデアを出し合って、プロジェクト化して、実行していく。書籍の中で柳澤さんがその具体的なプロジェクトを「アプリ」、それを可能にするためのベースとなる地域コミュニティを「OS」と呼んでらっしゃって、めちゃくちゃわかりやすいと思いました。

OSがなければアプリは動かないし、どれだけ優秀な人を外から呼んできても機能しないのは当たり前で、逆に言えばOSがあればその上で様々なアプリ、つまりプロジェクトを展開することが可能になります。

個人の「ジブンゴト化する」「面白がる」能力が鍵

柳澤さんがトークイベントで紹介されていたので、柳澤さんが以前出された「アイデアは考えるな。」も早速読んでみたところ、トークイベントでおっしゃっていたことと通底することがやはり書かれていました。

アイデアをたくさん思いつく人は、選択肢がたくさんある人。だから行き詰まらない。性格の問題ではなく、打つ手がたくさんある人はポジティブになれる。

・「面白がる」「ジブンゴト化する」というのは、技術である。「アイデアをたくさん出す」ことも技術である。だから、習得できる。

・きちんと構造化されたブレストや組織の運営をすることで、参加者や社員のアイデアを引き出すことができる。

確かに、どんな仕事でも面白そうにやる人、新しいアイデアややり方を思いつく人がいる一方で、どんな仕事でもつまらなそうに、特に広がりや深みを見出さずにやる人もいます。

そう考えると、「自分にはアイデアがない」「あの人はクリエイティブだから特別」「自分の仕事は他の仕事のようにアイデアを付け加える自由度がない」というのは、実は言い訳に過ぎないことがわかります。

柳澤さんがおっしゃっている「面白そうに仕事をしている人、どんな仕事でも楽しんでやっている人には仕事がさらに来るようになる」というのは間違いのない真理だと思います。

矛盾の中を、面白く生きるために。

今回柳澤さんの書籍を続けて2つ拝読したのですが、「鎌倉資本主義」は2018年の年末、「アイデアは考えるな。」は2009年と約10年の隔たりがあるにも関わらず、実は2009年の時点で「資本主義が抱える矛盾」について既に語ってらっしゃっていたのが印象的でした。

電機メーカーが利益を上げるためには、常に新製品を出し続けなければなりません。電化製品が壊れたので修理を依頼したら、新しい製品を買うほうが安くつくと言われた、という話をよく聞きます。この地球の限られた資源を大切に活用するためには、ひょっとしたら修理して丁寧に使うべきなのかも知れませんが、今では安易に新製品を購入する社会になっています。こう考えると、自動車だってケータイだってあんなに新しいものが次から次へと登場する必要があるのだろうか、という気持ちになってしまいます。そうです、言うなれば、企業が常に成長と拡大を期待されている資本主義社会というもの自体が、矛盾を抱える宿命にあるのです。


この問題意識は、鎌倉資本主義と通底していると思います。そして、柳澤さんは岡本太郎さんの言葉を引用した上で、こうおっしゃっています。

岡本太郎さんはこう言っています。「人間はすべて矛盾のなかに生きている。だから矛盾に絶望してしまったら負け、落ち込むのだ。それよりも、矛盾の中で面白く生きようと、発想を転換することはできないだろうか」。

まったく同感です。そして、面白法人カヤックの言葉で、こう付け足したい。「アイデアをいっぱい出して、面白がり屋になろう」。この世の中に一人でも「面白がり屋」が増えれば、きっとすばらしい世界になる。僕らももっともっと楽しくなります。一緒に面白い世の中になるようにがんばりましょう。

鎌倉は海も山も歴史も文化もあって、という感じで他の地域よりも恵まれているようにも感じますが、根本的には「地域のことをジブンゴト化できる面白がり屋を集めて」「アイデアを出し合ってプロジェクト化するOSとしての地域コミュニティをつくる」という「人」に関する部分がもっとも大事で、それは鎌倉以外の地域でも応用できる広がりのある考え方だと思いました。

この考え方やその実践をもっと理解し、感じるために、また鎌倉に足を運びたいと思います。鎌倉資本主義、目が離せません。

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